既視感のスイッチ

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最近周りで話題になっている、Parker Itoによる作品 "The Most Infamous Girl in the History of the Internet"。インターネットをやっている人なら必ず一度は目にしたことがあるであろう期限切れドメインのサイトによく表示される、リュックを背負った女性("Parked Domain Girl"あるいは"The Most Infamous Girl in the history of the internet"として知られている。日本だとmixiのログイン画面にでてくる芝生の上の二人組の女性なんかもそう?)をモチーフにした絵画作品。(しかもこれ、アジアの油彩画家にクラウドソーシングで描かせていて、いろんなバリエーションがあるらしい)。個人的にこの作品が面白いなとおもったのは、「あれ、これなんかみたことあるな・・・」という既視感が突如「あ!あの人!」ってなる感覚。もやもやした既視感のスイッチがパチンって落ちるイメージ。

Every time I tell someone about my idea for this painting they say, "Who?", and then I show them the jpeg and they're like, "Oh yeaaaaaaa." Everyone knows the "The Most Infamous Girl in the History of the Internet", but nobody knows her. - http://rhizome.org/editorial/3394

本人も書いてる、この"Oh yeaaaaaaa." って感覚ね。すごいざっくりしてるけど、「あれ、これ何だっけ?ああ!あれか!」となるものをいくつかあつめてみたよ。どれも日常的にわりと接触機会が高いわりに、無視してしまっていて、あえて見たり聞いたりすると「あれ?これ何だっけ?」となるものをセレクトしてみた。

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アウトサイダー・ウェブデザイン

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「アウトサイダー・ウェブデザイン」あるいは「ロードサイド・ウェブデザイン」。トレンドからは大きく外れた、デザイナーとは異なる文法によって構築されたいくつかのウェブサイトを、多大なリスペクトとともにいくつか集めてみた。どのサイトも、まるで「野菜炒め頼んだらおまけに餃子ととんかつとフルーツパフェ(しかもおかわり自由)がついてくるサービス定食」みたいな、「過剰なおもてなし感」で満ち溢れている。その過剰なデザインの後ろには、我々が見落としてしまったたくさんのヒントや、別の進化の方向性が隠されているような気がする。

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インタラクションと慣性

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先日CBC-NETに公開された、エキソニモ・センボーさんの記事「ケーコク小説」が抜群におもしろかった。文字通りアラートボックスを利用したストーリーテリングの手法を実演するもので、もちろんそこで描かれているプログラムの奥ゆかしさや悲哀は、最近話題になった「はやぶさ漫画」や「初音ミクの消失」みたいな感じで結構グッとくるんだけど、僕が個人的におもしろいなあと思ったのは、アラートボックスのつぶやくセリフをどんどん読み進めるために、どんどん「OK」を押してしまったこと。たとえばこの中に突然「この商品を購入しますか OK」とかでてきてもつい押してしまう気がする。

これは、いわば「インタラクションの慣性」ともいえるもので、何か特定の作業をすると見返りがでてくるというインタラクションをしばらく連続させると、快感物質のようなものでるのか、あるいは「手がすべって」なのかはわからないけれど、つい同じ操作をしてしまう。この慣性の力をうまく利用することができたなら、結構面白いことができそうだ。

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続・立体音響の世界

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以前、立体音響の世界という記事で、バイノーラル録音やホロフォニクスについて紹介した。この時期はまだYouTubeが正式にステレオに対応していなくて、立体音響のリソースを集めるには裏技的にアップされた動画を掘るか、あるいはニコニコで探すしかなかったんだよね。でも、今ではYouTubeもステレオに対応して立体音響系の音源がいろいろあがってきてる。というわけでこのへんで、あらためて立体音響周辺をまとめてみた。
※今回の記事で紹介している映像は必ずヘッドフォンを装着して見てください。

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マイクロ・インサイト系

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Twitterの登場によって、ひとりひとりのちょっとした心情の変化やひとりごと、いままではネットにうかびあがってこなかった言葉がネットにあがってくるようになってきた。そこで、どんどんネットに流れ込んでくるひたすら雑多な言葉の断片をフィルタリングし、気づきを抽出するというアプローチが出てきていて気になっている。このアプローチは、たとえばブックマーク数とか星の数とか数値化できるものをあつめてランキングを生成するアプローチとはちょっと違って、独特の味わいと示唆にあふれている。これを「マイクロ・インサイト系」と勝手に名付けてみたい。(まあ身も蓋もない言い方をしてしまえばTwitter検索キーワード芸みたいなものなんだけど。)

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店舗設計とウェブサイトの話

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客単価を倍増させた、丸善本店「松丸本舗」の本棚設計」という記事を見てすごくピンときた。そうそう、そうなんだよ!普段僕がウェブサイトの構造の事などを考えるときに頭に浮かぶのは「大きい本屋」を作るプロセスなのです。普段なんとなく考えていた、店舗設計とウェブサイトの構造の話をぼんやりまとめてみたよ。

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ツマミとインタラクション

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先日DOMMUNEでFrank Muller (Beroshima)のライブを見てたら、ラップトップにつないだMASCHINEとTR-707(!)を同期させていて、リアルタイムにシンバルの音をフェードインフェードアウトさせたり、リズムを分解したりしていて、相当格好よかった!

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道具を鍛える

コーヒー好きなので、毎朝時間がある時は、ネルドリップかペーパードリップでコーヒーを淹れて、水筒で会社へ持っていくようにしている。最近はバタバタしていて、なかなか朝コーヒーを淹れる時間がつくれていなかったのだけど、先週末から棚にしまっていたマキネッタをつかってエスプレッソをいれるようになった。これが結構いい感じ。

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キャンペーン・スクワッティング

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今日はちょっと仕事に関連する話なんかをしてみよう。最近のインターネット広告業界では、何らかのキャンペーンをやるときに、TwitterやブログやSNSにいる様々なユーザをどうやってキャンペーンに巻き込んでいくか、というような、いわゆるソーシャルメディアに関する議論が盛んだったりする。

いろんな企業が広告をする時にソーシャルメディアをどう扱っていこうか、みたいなことを考えてるわけだけど、わりと最近よく見かけるのが、企業側が一方的に情報を配信するようなコミュニケーションではなくて、例えばその商品が好きな人たちや、興味をもった人たちがサイトを通じてゆるいコミュニケーションをとったり、はたまた商品とは全然関係なく単純に遊べるコンテンツだったり、コミュニティを形成できるような、ネットの人たちをうまくとりこんでいく戦略。(そもそもこの議論はソーシャルメディア云々の議論以前から存在していたとは思うのだけど、こういうコンテンツやコミュニティがShareされるプラットフォームが出そろったところでこのへんの議論がもういちどでてきてる感じがする)

これはつまり、すごーく乱暴に説明すると、該当するターゲットがおもしろがってくれそうな、企業のブランドマークがはいった砂場を用意しておくと、普段ネットでアンテナ張り巡らせている人たちが集まってきたり、人に広めたりしつつ、適当に遊んでくれる。で、砂場で遊んでくれるユーザが多ければ多いほど、その企業との絆(エンゲージメントとかいわれてる)が深まるっていうようなロジックで成立してたりする。(実際には、いわゆるよくできたインタラクティブキャンペーンとかいうものは、上記のようなロジックをベースにひきつつ、ユーザーとブランド、商品の接点をどうデザインするか、そして話題をどう伝播させるか、というところが緻密に考えられている、ということになってる。)

で、最近面白いなと考えているのは、こんな感じで企業が不特定多数のユーザに砂場(プレイグラウンド)を提供すると、そこで予想外な使い方をする人がでてきたり、やんちゃなことをする人たちが突然現れたりしていること。

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ゴールデンウィークの過ごし方

今年のゴールデンウィークは、色々やることが山積みになっていることもあって、大阪近辺を散歩したり、ちょっとおいしいものを食べたりしてゆっくり過ごしました。まとまった時間ができたので、保留しっぱなしになっていたMTOSのアップデートも無事完了したし、ひさしぶりに撮った写真とかを適当にあげてみよう。

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