インタラクションと慣性




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先日CBC-NETに公開された、エキソニモ・センボーさんの記事「ケーコク小説」が抜群におもしろかった。文字通りアラートボックスを利用したストーリーテリングの手法を実演するもので、もちろんそこで描かれているプログラムの奥ゆかしさや悲哀は、最近話題になった「はやぶさ漫画」や「初音ミクの消失」みたいな感じで結構グッとくるんだけど、僕が個人的におもしろいなあと思ったのは、アラートボックスのつぶやくセリフをどんどん読み進めるために、どんどん「OK」を押してしまったこと。たとえばこの中に突然「この商品を購入しますか OK」とかでてきてもつい押してしまう気がする。

これは、いわば「インタラクションの慣性」ともいえるもので、何か特定の作業をすると見返りがでてくるというインタラクションをしばらく連続させると、快感物質のようなものでるのか、あるいは「手がすべって」なのかはわからないけれど、つい同じ操作をしてしまう。この慣性の力をうまく利用することができたなら、結構面白いことができそうだ。

以下、インタラクションの慣性をうまく駆使しているな、と思われるコンテンツをいくつか。


Don't Push the red button
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赤いボタンを押すな!というシンプルなバナー。赤いボタンを押すと「おすなっていってんだろ!」という反応のバリエーションがとにかくたくさんでてきて、「次はどんなこといわれるかな」というインタラクションの快楽にとりこまれていく。最後にはついvisitを押してしまうような誘導になってる。わかってるんだけどついやっちゃう。本能的なところを鋭く突いてる。


REDUCER
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上の「Don't push the red button」と似た構造で成立してる。どうしても「NO」とクリックしないと進まないんだけど「YES」をクリックしたときの反応のバリエーションがおもしろくって延々「YES」をクリックしてしまう。そんな中で「NO」を選択する重要性に気付く賢い作品。こちらも、CBC-NETで連載しているMercedeath大野さんの作品。


箱の中
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箱を開くと箱がでてきてその中にはさらに箱が...北園克衛の「単調な空間」みたいな構造。プログラムによって制御されていてどこまでも箱は増える・・・もしかしたら終わりがあるんじゃないだろうかという思いからつい延々クリックしてしまう。

どれもシンプルで、いってみれば「コネタ」なんだけど、だからこそ本質的なものが含まれている気がする。

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