SLN3DEXPO Vol.3 Web3Dについて




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少し間が開いてしまいました...SLN3DEXPO第三回。昨今PaperVision3D(以下PV3D)などのライブラリの解放によって、急速に散見されるようになったWebにおける3D表現について、最近の事例なんかを簡単にまとめてみたよ。

■PaperVision3D
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http://papervision3d.org/

Flash で3Dを実現するためのライブラリ。今までも3D表現を実現するための方法はいくつかあったみたいなんだけど、いままでのものより実用的+高速ということで、これを利用したFlashでつくられた3Dサイトが最近増えはじめてる。ちなみに他にもFIVe3Dみたいなライブラリもあるけど、PV3Dが圧倒的という印象。


■Mr.doob
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http://mrdoob.com/

PV3D の習作とかいろいろ。最新の事例ではPV3Dを利用してオーディオビジュアライザーをつくってる。ちなみに、Flash+PV3Dでオーディオビジュアライゼーションってつながりだとこれとかこれが幻想的で素敵。やっぱりレンダリングの速度はflashだとそれなりに重いんだけど、目指してるところとしては、まあwhitecap的なところなのかと。

PV3D関連については、いろんな人たちが習作をたくさんつくってるので、ちょっと検索してみるとたくさんみつかると思う。中でもちょっと面白いなーと思ったのは、LessRainの人の習作PaperRockyDudesがナイス。


■PaperRockyDudes
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http://www.blog.lessrain.com/wp-content/upload/paper_rocky_video/

技術的には、PV3Dにおけるインバースキネマティクスの実装と3D表面へのFLVの投影ってとこだけど、アイデアが素敵すぎ。

こんな感じでFlash使いの人たちがいろんなPaperVision3Dのblogでは最新の事例がいろいろ紹介されてるので購読しておくと最新事例が見れて面白いかも。


■PICTAPS
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http://roxik.com/pictaps/

いままで、Directorでつくられたコンテンツなんかで 3D表現はよく見ていたんだけど、Flashでここまでゴリゴリ動く3Dを見たのははじめてで当時は衝撃的だったなあ。(当時はまだPV3Dも無かったし、Flashで3Dの表現かーと思い起こせば、日本だとナフタリンの中の人がやってた3D表現がキてるなーと思っていた)Adobeのこの記事によると、PICTAPSを制作したROXIKの城戸氏は、PV3DなどのライブラリはつかわずにAS3でゼロからつくった自作のライブラリをつかってるんだって。サンプルのflashの動きもえらいことになってる。

2Dで表現を行う場合、思いついたアイデアをすべて2次元に変換する必要があります。しかし3Dは、頭の中にあるアイデアをそのまま表現すれば良いだけです。「じゃあ2Dでどう表現すればいいの」という2D世界の心の制約から解放されれ、3Dによる自由な発想が可能となった今こそ3Dに手を出すべきと説きます。また、「難しそう」「無理」と諦めず、最初からまず制約のない世界、3Dから手を出すべき

という発言は刺激的で素晴らしい。こういった作品が、yugop氏がmonocraftやってた時にいろんな人に与えた影響と同じくらいの影響をいろんな人に与えてたら素敵かも。(monocraftが画期的だったのは、ウェブデザイン黎明期に、アニメーションツールとして進化の系譜をたどっていた Flashを使って、ジョン前田がやっていたような、computeされた美をもちこんだところだと僕は考えているのだけど、同じように考えると PICTAPSがそれ同様の刺激をいろんな人に与えたら素敵だなと僕が思うのは、単純に3D表現(=表現力自体を考えればゲームやVFXに比べたら適わないところがあるもの)でこんなカッチョイイものつくったぜ!ってだけじゃなくて、ちゃんとユーザーが描いた絵が、とか自分の描いた絵を人に permalinkで教えてあげることができるとか、そういうウェブならではの枠組みに落とし込んでるところがあるからかも知れない、って括弧ながくなりすぎた)


■Web Plamo
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http://web-plamo.com/

上記のPICTAPSのROXIK城戸氏の最新作(なかのひとからご連絡いただきまして、Web Plamo PORTAL自体には城戸氏はかかわっておらず、IMG SRCの社内スタッフの方々のみで実装しているそうです。関係者の方々失礼しました!)。今のところティザー。ディアゴスティーニ式にサイトにアクセスする度にパーツがもらえて、パーツをすべて集めたらプラモが組み立てられて、完成したらデスクトップツールにダウンロードして遊べるというものらしい。


■Red Bull Flightlab
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http://www.redbull.com/flightlab/

ほぼ同じタイミングで、上のロッキーの事例を紹介したLessRainが、飛行機を組み立てて飛ばす鳥人間コンテスト的なコンテンツを公開。操作がムズいけど、さくさくうごく。細かいインターフェイスの動きもさすがのクオリティ。


■White Void / Portfolio Application
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http://www.whitevoid.com/application.html

3D の良い使い方。シンプルな形状を使っているからか結構サクサク動くし、単なる演出にとどまらず、立体表現を採用することによってコンテンツの階層構造がわかりやすくなっているのがポイントかも。このサイトを見て、Flashでも3D表現がちゃんとつかえるものになってきたんだなあというように思うようになった。トランジションの演出なんかにちょっと小粋な動きがはいったりすると、Flashの表現はよりゆたかなものになっていくと思う。


今後ウェブの3Dがどういう方向に行くのか、ちょっと考えてみると、今はウェブにおける3Dの表現がそれだけで新鮮だから色々実験がされているけど(コンテンツにおいて本当に面白い部分、大事な部分が何かっていう事さえ見失わなければ、これらの実験の成果は、どんどん盛り込んで行くべき)、ある程度成熟してくると、今度はみんな「どうやって動かすか」という方向に興味が行くようになってくるんだろうな。だから Box2みたいな物理演算ライブラリの動向は気になるところ。問題はその後だけど、僕はおそらくシェーダー部分に工夫がでてくるようになってくるんじゃないかと思う。これはProcessingあたりが押し進めるGenerative Designみたいな考え方にもものすごく相性がいいものだし、何よりモデルは同じでも描かれ方が変わってくるだけで表現の幅がグンとひろがると楽しいよね。シェーダーについては、つっこんでいくとめちゃくちゃ面白いんだけど、書くと本筋から脱線しすぎるのでまたの機会に。ちなみに、 VFXの世界では Rendermanとかを使って独自のシェーダーを書いて独特の質感を出したり、そういうことが当たり前にやられているみたい。大洋シェーダーとか見ると興奮して鼻血出る。

個人的にはVFXやゲームの表現をなぞるというよりも、ウェブならではの独特の表現がでてきたら面白いかも、と思っている。パラメータの設定をあえてめちゃくちゃにしてレンダリングするグリッチ的な表現がたくさんでてくるとか、レンダリングのクセがスタイルになるとか、スペック依存から逆にワイアーフレームとかレトロフューチュアルな表現が流行る、とかそういう話も含めて。


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