音と映像の関係を巡る12本 (2)




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いろいろ難しいことを考えるのもいいし、単純に楽しむのもアリ。
音と映像の関係について考えるための映像集その2

■映像→音

シンクロミー
Dir.Norman McLaren

またしてもノーマン・マクラレン。これぞAudioVisualの記念碑的作品といえるのでは。昔のフィルムのオーディオレイヤーに直接落書きをする事で曲をつくっている。オーディオレイヤーをフィルム部にコピーして同時に映像も生成。映像がまるで、シュトックハウゼンの"STUDIE II"の譜面みたいに見えるのは偶然ではないと思う。音と絵/映像の関係を考える上で、図形譜面はものすごく重要。


Groove Tube
Dir.Ken Shapiro

リップシンクロのお手本のような作品。議会様子を軽快なスキャットにのせて。1974年の作品。映画が始まる前に余興的にながされていたものらしい。


Amature
Dir.Lasse Gjertsen

サンプラーがあれば楽器がひけなくても音楽つくれる。そしてカメラと映像編集ソフトがあれば、サンプラーがなくても音楽はつくれる。ものすごくよくできてる。この人は他にもHyperactiveという作品が有名。最近ではこういう手法をマッシュアップとか、オーディオビジュアルとか言うらしい。


Timber - Coldcut & Hexstatic
Dir.Coldcut&Hexstatic

マッシュアップの金字塔。森林を伐採する映像をサンプリングして曲を構成。音楽と同時に映像も出来上がる。(「悪魔のいけにえ」vs「シャイニング」バージョンもどうぞ)昆虫や植物の音を同様の手法で再構成したNatural rhythmも必見。96年はこういった作品が他にもいくつか出ていて、EbomanのDonuts With Buddhaもそのうちの一つ。Addictive TVはまだ無かった気がする。


ビックビートの若大将
Dir.Ghost Dogs

若大将vsFatBoySlim。日本からこんな格好いいマッシュアップがでてきたことは快挙!「意外な組み合わせ」マッシュアップの醍醐味。曲のはじめと終わりに後ろに流れてる音楽もソレっぽくさしかわっているのにも注目。


GBLdm ジブリズム / Fashion Diver GB - Daisuken
Dir.higechompa

宮崎駿ミーツハードコアブレイクビーツ。盟友higechompa氏による作品。いちいちセンスありすぎて嫉妬。


Zanshiro - Bubble-B
Dir.Bubble-B

直球のトラックに「トイレその後に」や「新婚さんいらっしゃい」等絶妙なネタが特徴のBubble-B氏(MOD全盛期にテクノとカラテのマッシュアップで好事家を熱狂させた、知る人ぞ知る「カラテクノ」のお方です)の作品。低予算で脱力CMつくって、残りの予算で、こういう破壊力のあるマッシュアップビデオをつくってYouTubeに流したりするプロモーション戦略の可能性を感じちゃったり感じなかったり。


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■おまけ:マッシュアップの未来

sCrAmBlEd?HaCkZ!
Dir.popmodernism.org

映像をReCycle!みたいな機能でバラバラにしたものを、スペクトラム解析したデータとセットでデータベースに格納。マイクの入力の近似値をリアルタイムにデータベースからひっぱってきて、映像の断片で再構築する、というスグレモノ。詳しくはこの記事で書いてます。


ドラびでお
Dir.ドラびでお

ドラムセットのMIDI信号をJitter MAX/MSPを経由して映像をコントロールするパフォーマンス。発想は上記のsCrAmBlEd?HaCkZ!に近いけど、もっとビート寄りな解釈といえるかも。詳しくは彼らのウェブサイトにて


どちらもマッシュアップを前提とした映像/音楽制作ツールの可能性を示した例。「世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにすること」を理念としてかかげるGoogle帝国の台頭や、YouTubeの登場によって、「データベースを参照してネタをピックアップし、いろいろなものをくっつけて別のものにしてしまう」ということが総じてやりやすくなってきてる時代といえる。sCrAmBlEd?HaCkZ!やドラビデオのようなシステムの登場によって、「データベース型」消費とも言える「マッシュアップ」はさらに加速する。


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