農家ロイドとマッシュアップ




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最近ニコニコ動画で吉幾三の『俺ら東京さいぐだ』をネタにいろんな曲とマッシュアップさせたコンテンツが流行ってる。吉幾三のマッシュアップつったらレオパルドンだろ!とか往年のイロモノテクノを思い出しつつ、今回のまとめ&ついでに僕もやってみました。

たぶん誰でも知ってる原曲がこれ。よくきくとベースラインとかめちゃくちゃかっこいい。(昔の歌謡曲とかちゃんときくと面白いよねー。ところで山口百恵の「プレイバックパート2」のベースラインはTB-303ってホント??)

俺ら東京さ行ぐだ / 吉幾三

大ヒット曲『俺ら東京さ行ぐだ』は、当時のオリコンでは演歌チャートではなく、「フォーク、ニューミュージック」チャートでランクインしていた。黎明期の日本語ラップにおける代表曲との評価がある(これ以前にもスネークマンショーや小林克也、山田邦子らがラップテイストの強い曲を発表している)。歌詞の中に「レーザーディスクは何者だ!?」とあって、パイオニアから吉幾三にレーザーディスクがプレゼントされた。なお、この歌の歌詞は吉幾三の出身地の言葉である津軽弁であると勘違いしている人も多いが、全く津軽弁になっていない。その題を題材に映画が公開され、吉幾三本人が出演した。
- 吉幾三 wikipedia


いわゆる日本のヒップホップののハシリみたい。ちなみに、『俺ら東京さ行ぐだ』は1985年で、YMOの「ラップ現象」と、『咲坂と桃内のごきげんいかがワン・ツゥ・スリー』(sketchshowがカバーしてたあれね)が1981年だったから、この時期にヒップホップがものすごい勢いで広がっていったのがわかる。このへんの年表はwikipediaの日本のヒップホップに詳しい。

で、この曲の声をズタズタにして自分でつくった曲や、別の曲に無理矢理のせるマッシュアップが流行り始めるわけだけど、吉幾三のマッシュアップといえば、自分の記憶では一番最初にやったのはレオパルドンなんじゃないかと思っている。吉幾三だから「オーケーレッツゴー」ていうサンプリングが秀逸。

NO DISCO CITY / レオパルドン

そういえば、ちょうど、2000年くらい?Sharpnel(ex.ガバンゲリオン)とかレオパルドンとかBubble-B(ex.カラテクノ)みたいな、オタクな音ネタをサンプリングしたイロモノテクノが一部で盛り上がってたんだよね。(当時まだサンプリング主体のDTM環境ってそれほど普及してなくて、みんなImpulse Trackerとかで曲つくってた気がする)おまけでBUBBLE-Bのちょっと前のビデオをはっておこう。

がんばれ!!佐吉っつぁん / BUBBLE-B


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5 バーベキュウにぞっこんなのだ
5 ぞっこん!面白いです!!


で、こういう前例をふまえた上で、本題。昨今のニコニコ動画で再評価が著しい吉幾三マッシュアップを、ニコニコのアカウントが無い人もいると思うのでyoutubeにもあるものを中心にいくつか紹介。

ポリ幾三

これが最初に投稿された吉幾三ネタっぽい。パフュームとネタサンプリングのマッシュアップっていかにもニコ厨が食いつきそうなネタだなあ。この後このネタ「なんにでもあうぞ!」ってことで、同様の作品がいろいろアップされていって、玉石混淆。

【WANNABE】スパイスガールズvs吉幾三【俺ら東京さ行ぐだ】

なんかもう、ネタの持ってきかたがカオスすぎて面白い。家にあったCDにまぜてみたらいい感じだったよ!って感じなんだろうか。

田園のメリークリスマス

戦場のメリークリスマスのメロディラインをはやりのトランスにのっけたら大ヒット!っていう、これまたマッシュアップ的な視点でつくられたwatergateのHeart Of Asia(なつかしすぎる)と吉幾三をマッシュアップ。ラップがブレイクビーツモノではなくて四分打ちに合成されるっていうのは時代を感じるな。

吉幾三×Capsule×DaftPunk×BeastieBoys StarrySky - IKZOLOGIC Remix

これはブレイクスルー。ダフトパンクにCapsuleをマッシュアップしたものに、ビースティーをマッシュアップして、その上に吉幾三という、4つのネタのマッシュアップでできてる。ビースティーのラップにautotuneかけて原曲によくなじむように加工してあるのが見事。以下元ネタ

Technologic / Daft Punk

Ch-Check It Out / Beastie Boys

Starry Sky / Capsule

よくできてるな〜とおもいながら、ふと思ったのが、これをサンプリングじゃなくて、譜面上でやっちゃったのが、オレンジレンジなんじゃないだろうか?という事で、これって冷静に考えると見事としかいいようが無いな。
参考資料:オレンジレンジ盗作フラッシュ

このへんについて、「CDは株券ではない」という本の菊地 成孔 と近田春夫の対談におもしろい記述があったので引用。


菊地
そういえばORANGE RANGEってお聴きになりましたか?

近田
よくできてる曲いっぱいあるよね。

菊地
ありますよね。僕もORANGE RANGEって、「沖縄の、沖縄くさくない音楽がこれから流行る」とか、そういう音楽の構造と関係ない文脈で来てるんだなというふうにざっくりと考えてたんですが、曲を聴いてびっくりしたんですよ。要するに、2曲からパクってるんですね。1曲をパクるというのは実はたやすい作業で、その曲のストーリーに乗っかって自分なりにフェイクを入れていけばいいわけじゃないですか。いわゆる替え歌。っていうか。だけど、2曲のものを1曲に鋳造していくというのはすごい大変な作業で。すごい手が込んでて、きちんと設計図ができてる。

近田
それはほんと技術がいるよね。技術は見事ですよ、いろんな意味で。どの曲も、ほんと構成よくできてんだよ。無意味なとこ1ヶ所もないもんね。

菊地
確信犯という意味も含めてなんですけど、ORANGE RANGEがものすごいピカピカのブランニューで、アンファンテリブルに感じるんです。さらに、それを公言してるんだよね?

ーそうですね。インタビューでも「合い言葉は"パクろうぜ"です」と発言しています。それがネットで騒がれたんですが。

近田
いけないこととして?そんなことはないですよね。重要なのはパクリかどうかじゃなくて、見事かどうかだよね。それしかない。つなぎ合わせ方とか、うまいことどこか転調して綺麗に聴かせるとか、そういうのは技術だからね。

-「CDは株券ではない」菊地成孔


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さて、んでこれらの作品に勇気をいただきつつ(笑)僕も久しぶりにAbelton Liveでもってサクっとつくれみますたよ。


ビートはPublic EnemyのFight The Powerから4小節もってきた上に別途打ち込んだネタをまぜて補強しつつエフェクトでズタズタにしたもの。過剰なエフェクトとヴォーカルチョップで過疎化がすすむ農村の病理を表現!!!!(嘘)


郷に入りては郷に従えということでアニメネタで。俗・さよなら絶望先生のオープニング曲「空想ルンバ」のアウトロに極上のフレーズがあったので4小節だけいただいて、ブレイクビーツで補強してnujabes系な感じにクッキング。

やってみて思ったのは、BPMさえあわせれば確かに何にでも合うし、ギャップがあるから何やっても面白い。このへんについていろいろ考えた事があるので、また次回まとめてかきまーす。

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