ヨーロッパ旅行レポート:ベルリン編(下)




一人ラブパレードやらBauhaus Dessau見学で聖地巡礼色の強くなって来た2週間のヨーロッパ一人旅完結編。Rem KoolhaasのContents展、Daniel Libeskindのユダヤ博物館、そしてベルリンテクノの聖地TRESORにも潜入。

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朝食後、ラウンジでスウェーデンから来たという子と少し話す。今日きたばかりでまだ何処へ行くか決めていないらしい。

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*CWS社のトラック、ロゴデザインはJosef Muller Brockmann!

Mies van der Roheの新ナショナルギャラリーへ。ちょうどRem KoolhaasのContents展をやっていて、世界を回る展示会だけど、ここが一番最初だったみたい。面白いのは、日本だと一部の人しか見に行かないだろうこういった展示会のポスターが町中に貼られているという事。街を歩いていても小さなギャラリーが多く、ベルリン市民の建築や芸術に対しての意識の高さが分かる。

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S,M,L,XL」に代表されるOMA本の異様な分厚さからも伺える高いリサーチ&プレゼンテーション能力に基づく、膨大な情報がびっちり詰まった展示となっている。映像あり、模型あり、パネルあり、Tシャツを売る屋台あり(!)の祭状態。単純に面白かった。中華中央放送(CCTV)のプロジェクトは凄すぎ。実物を見てみたい。

新ナショナルギャラリー前からバスに乗って再びBauhaus Archivesへ。田中一光とKandinskyのポスターを買う。ポスター入れも一緒に買ったら意外と大きいので一度ユースに戻る事にした。

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*Bauhaus Archivesの中にあったカッコイイ電話

で、ここでちょっとしたトラブル発生。しかもベルリンには改札というものがなく、自分でチケットを買うだけのシステムになっているので、「これもしかしてタダ乗りできるんじゃないの?」という素朴な疑問がムクムクと。今まで何度か電車に乗ったけどチケットをチェックされた事は一度もなかったし...ベルリンには近郊列車のSバーンと地下鉄のUバーンがあり、Eurail PassはSバーンには適応されるが、Uバーンは別途チケットを買わなくてはならない。知ってはいたのだけど、ユースの近くの駅まですぐだし、大丈夫かな...と思っていたら突然抜き打ち検査が始まった!私服のBVG(地下鉄を運営している会社)の人がひとりひとりチケットをチェックしている。ヤ・バ・イ。こうなったらもうダメだと思ってユーレイルパスを見せると、「これはここでは使えない」という。ああ、やっぱりね、知ってますよ...でもそこはやはり知らないフリ。「裏にヨーロッパの全路線で使えると書いてある」なんてウソ吹くが、当然通用しない。「違反は40ユーロの罰金を払う必要がある。今40ユーロ持ってるか?」「いや、そんな大金持ってない」「...んじゃちょっとこっちこい」あー、終わった。と思ったらチケット販売機の所に連れて行かれてチケットの買い方を詳しく教えてくれ「知らなかったならしょうがない」と見逃してくれた!神!

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*BVGのオフィスの前にはでっかいBVGのPlaymobile人形が!さすがドイツ

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*ユダヤ博物館の近くにあるマンション。可愛い。

荷物を置いて、今度はちゃんとチケットを買って(笑)、いよいよDaniel Libeskindのユダヤ博物館へ。高校時代に建築中の写真をA+Uで見て以来いつか行ってみたいと思っていた場所。テロ防止の為、という事でセキュリティが高めになっえいる。銀色のギザギザの建物に普通の建物があって、こっちが入り口になっている。X線チェックの後に上着と荷物をフロントに預け、階段を降りながら。銀色の建物に入って行く。

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*複雑な建築の形がそのままロゴになっている

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*全体図。もう何が何やら

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*全体一直線に横断する「亡命の軸」と「連続性の軸」床が微妙に傾いていてものすごい違和感を感じる。

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*いくつもの柱がつきささる階段

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*Memory Voidのインスタレーション。強烈。

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*鉄でできた無数の顔がしきつめられていて、ここを歩くと音がコンクリートの壁に反響して無気味な音を出す。

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*ホロコーストタワー。真っ暗な空間に閉じ込められる。ドアを閉じられると天井の1点からしか光が差し込まず、外で風が吹きすさぶ音しか聞こえない。これはガス室で、光の向こう側にあるのは死。

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*ホフマンの庭。ものすごい圧迫感。写真だとわからないけど、地面が大きく傾いている。

ホロコーストタワーに3分程入ってからフロントで荷物を受け取り、博物館の外に出る間は軽いショック状態だった。床が斜になっている事で平衡感覚がゆさぶられる感じになるんだけど、なにか、もっと本質的な部分をゆさぶられた感じがする。ユダヤ人の歴史を表現したというこの巨大な建造物には確かに「なにかある」。季節が冬という事が建造物をさらに冷たいものにしていた。コートの襟を立て、ポケットに手を入れながら足早に駅へと向かった。

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*ベルリンZoo駅の近く

そのままZoo駅まで行って昨日と同じレストランで食事をした。今日は2週間のヨーロッパ旅行最終日。いつもそうしてきたように、音楽を聴いて大声で騒いでこの旅を終わる事にした。TRESORへ行くのだ。

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*ここがテクノを代表するの伝説の箱、TRESOR。

今日のパーティーはMijk Van Dijkが主催するBack Stage Berlin。Globus, Tresorの2フロアで13人ものDJがプレイする大規模なパーティーだ。夕食を済ませ一旦ユースに帰ると、新たにカップルが2組部屋に入っていた。軽く挨拶してあとは知らないフリをしていた。パーティーは23:00から。地下鉄は週末は24時間動いてる(!)から少し遅めに行っても大丈夫だな。体力温存の為に隣のベッドでいちゃつくカップル共を無視してとりあえず寝る。

24:00、入り口で入念な荷物チェック、デジカメが見つかり、「決まりだから」と預けることになる。エントランスは10ユーロ(約1400円、めちゃくちゃ安い!)お金を払うと腕に巻くリストバンドを渡される。クロークは1ユーロ、財布をポケットに押し込み、バックも上着も全部預けた。準備万端だ!1階は少し時間が早いこともあって少しヌルーいハウスで、ちょっと退屈して地下に行ったら、もーバッキバキ。バーでビール買って飲みながら踊る。1時間も踊ってると、おっかしいなあ、ベルリンなのにすっごい見なれた光景が広がってるのよ。スピーカー前でガッツンガッツン踊ってる奴もいれば、キメキメでイキがってる奴もいるし、ナンパに一生懸命の奴もいて、「イエーイ」はいはい「イエーイ」。音は、日本で流行ってるようなハードミニマルより、いかにもベルリン!って感じの、「ドラムスカスカ」「ベースウネウネ」の文字どおりベルリンテクノが盛り上がってる感じ。なるほどねー。

フラッシュライトとスモークと音の洪水の中で朦朧としながらテクノとこの街は似ているなと思った。荒地に突然建てられる無機質なハイテクビル群。活気があるようで無い、何でもあるようで実は何もなかったりする。

3時ごろまで踊ってユースに帰った。寝過ごして飛行機に遅れたらシャレにならないので。それにしても24時間地下鉄が動いてるなんて、なんて便利なんだ...


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Alexander Platzのバス停からTXLでBerlin Tegel空港へ。昨日Bauhaus Archivesで買ったポスターの筒が持ち込めるか心配だったけど、特にトラブルも無くチェックインできた。SchipohlからTegelに来る飛行機の出口には麻薬犬(意外と可愛い)が控えていて、ひとりひとり匂いを嗅いで大麻の持ち込みが無いかチェックしている。そういえばアムステルダムから電車でミュンヘンまで行った時には荷物検査とか一切なかったな...いいのか?入れ替わりにその飛行機に乗り込んでアムステルダムへ、ここで成田行きの飛行機に乗り換えるのだ。KLM成田行きの待ち合い室に行くと、そこには日本人が沢山いた。突然日本に戻ったような感覚に軽い目眩を覚えながらSchipohl発成田着の飛行機に乗り込んだ。周りに日本人が居て日本語を喋っていればそこはもう日本なのだ。

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*Tegel空港、Lufthansaのボード:この本を思い出した。

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*さよならヨーロッパ

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*無事帰国

行きのバスの中でも見たはずの、高速道路から見える東京の町並みを改めて見て、東京の密度の高さに驚かされる。こんなに一つのビルに沢山のテナントがはいって、沢山の看板がビルに張り付いている風景をヨーロッパでは一度も見る事は無かった。太陽の光をてらてらと反射させる東京のビル群を眺めながら、そんな東京の風景は、実は、めちゃくちゃカッコイイんじゃないかと思った。やっぱり自分はゴチャゴチャした東京が好きだ。

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