イギリス、ベルギー、オランダと来ていよいよドイツ。芸術文化とビールの町ミュンヘン。ミュンヘンからちょっと足を延ばして旧ウルム造形大学校舎:マックス・ビルの建築を訪ねる聖地巡礼の予定だったのだけど...
騒がしい声で目が覚めた。寝台車の外を見ると外はまだ暗い。どっかの大バカ野郎が酒盛りしてるのか?時計に目をやると既に7:00だった。あと30分でMunchen Hbfに到着だ。
チケット窓口へ行くと、窓口には「英語でもどうぞ」と表示されている人といない人がいる。ううむ、英語が誰にでも通じる感じじゃないのか...とりあえず今夜のBerlin行きの寝台列車(ドイツではNachtZug、ナハトツークと呼ぶ)を予約。値段はAmsterdam→Munchenよりやや安い。あれより狭かったら困るなあ...
駅のコインロッカーに荷物を入れ、身軽になった所で街へ飛び出た。暗い上に雨が降ってて、寒い。ブリュッセルの悪夢を思い出して足早に街の中心地へ移動。ロンドン編でも書いたけれど、ヨーロッパの街の中心は駅から離れていたりする。街が教会を中心にできているからだ。さすがに中心地は朝でもそれなりに活気があって、トラックで花や野菜を持って来て路上で売っていたりする。
*新市庁舎
*レジデンツ博物館
*オベリスク
まだ朝早いし、とにかくお腹がすいたので(昨日の夜アムステルダムのバーガーキングでハンバーガーセットを食べてから何も食べて無い)とりあえずインテリアがいい感じのカフェに入って作戦会議。とりあえず午前中はミュンヘンの美術館を見て、午後からUlmへ行こう。(ミュンヘンに行ったらウルム造形大学のウルム、ベルリンに行ったらバウハウスのデッサウへ行こうと決めていた)マックス・ビルが設計したウルム造形大学の校舎の一部が今もウルム大学で使われているらしい。人通りがそこそこ出てくるまでソファでマッタリ。コーヒーは不味かったけどマフィンはそこそこウマかった。
ミュンヘンにはPinakothek Der Modern, Neue Pinakothek, Alte Pinakothekの3つの大きな美術館があって、すべて一つの地区に集中している。(ところで、ピナコテークっていう響きも可愛いけどスペルも可愛い。Pinakothek)迷わずPinakothek Der Modernへ入る。
*コンクリートのカッチョイイモダン建築
*ドイツっぽくカチッとクリーンにまとまったエントランス
*白い壁と光のコントラストが美しい
*ルイジ・コラーニのオブジェ。デカい!
テートとくらべると物足りなさもあるけれども、あるものはあるし、インダストリアルデザイン館があるのが珍しくてよかった。ルイジ・コラーニの黒いオブジェが白い壁にめちゃくちゃ合ってて感動したし、怒濤のデザイン椅子攻め(とにかく椅子ばっか集めてる、椅子椅子椅子...この時リートフェルトチェアを見て、アムステルダムでシュレーダーハウスを見に行くのをすっかり忘れていた事を思い出して少し鬱になった)は普通に面白かった。オススメ。
Pinakothek Der Moderneに意外と時間がかかったので、早速Ulm(日本だとウルムだけど、向こうの人は「ウーム」と言う)へ行く事にした。(実を言うとMunchenに少し飽きていたのだ。)Munchen HbfからUlmまでは意外と遠くて、Ulmに着いた頃には既に薄暗くなっていた。駅にある地図を見ると、ウルム大学って結構遠い!とりあえず徒歩は諦め、バスに乗る事にしたのだが...バス停に何て書いてあるのか全然わかんない(汗)
*ゴシック体でUlmって書いてあるだけで軽く感動
英語ってわかんなくても大体こんな意味かな?ってわかるじゃない。あれがもう全然無い。何て読むのかさえわからないアルファベットの羅列。そういえばミュンヘンに来てから人とまともにコミュニケーションしてなかったから忘れてたけど、ここドイツなんだった。こりゃさすがにヤバいなーと思い、バスの運転手に聞いてなんとかバスが停まる所だけは分かって、あとはなるようにいなれでなんとかウルム大学に到着。(奇跡。学生についてったのが正解だった...)
*これがウルム大学
*ウルム大学の模型
あれー?このユニットの展開はソレっぽいけど直角コンクリートのウルム造形大学の面影は微塵も無い...あ、なんか年輩っぽい人が来た。ここの職員だろうか。ちょっと聞いてみよう。
「すいません。ちょっといいですか」
「なんでしょう」
「実はウルム大学の敷地内にウルム造形大学の校舎の一部が残っていると聞いてやってきたのですが」
「ウルム造形大学!確かに数十年前にウルム造形大学があったというのは聞いた事があるけれど...詳しくは知らないな。本当に昔の話だから。」
「そうですか...」
大学の一角が大学病院になっている。ここの受け付けのおばあさんに聞いてみよう。かなり年輩の人のようだし、もしかしたら何か知ってるかも...
「すいません(以下略)」
「○×□◇×○×□◇×」(英語が話せない方でした)
結局何が何だからわからずじまいでバスに乗り、ウルム大学を離れた。もっと調べてから来るんだった...帰り際バス停の屋根の上にバウスピールのようなものが乗っているを見た時、たしかにこの街にウルム造形大学はあったのだと無理矢理納得する事にした。すると、今そこにいる自分が少し嬉しくなってくるから不思議だ。
電車に揺られ再びミュンヘンへ。ところでドイツのICEは技術力がすごい。電車の中に入って荷物の整理をしていると、いつのまにか出発していたりする。出発の時にまったく揺れないのだ。そろそろお腹も空いて来たし、夕飯にしよう。ドイツに来たからには「ソーセージ」と「地ビール」これしかない。ということで、ガイドブックを頼りに地ビールが自慢のお店へ。ちょうど日本人団体客がゾロゾロと出てくる所で、異国で日本人に会うのは不思議な恥ずかしさがあり、コソコソと脇を抜けて店内へ。店内ではアコーディオンやギターを持ったミュージシャンが演奏していて、客層は地元の人も沢山いる様子。イギリスでいうパブみたいなもんか。「ドイツでは店員が案内する前に席に着くのはルール違反」なんてガイドに書いてあったもんだから、入り口でつっ立ってたら「なにやってんだはやく座れ」みたいな感じで手招きされる。アレー?さっそく地ビールとホワイトソーセージを注文。
*地ビールキター!
「ドイツのビールはヌルいらしい」なんて話を聞いていたのだけど、この店については普通に冷たかった。お味の方は...プハーッ、ンマーイ!もう一杯!(画太郎)てなもんですよ。苦味がなくて非常に飲みやすい。調子に乗ってビールをゴクゴク飲んでる所にホワイトソーセージが到着。真っ白なソーセージがお皿の中に浮いていて、ナイフで切って食べる。ナイフでソーセージをさすと、「...プツン」という感じ。中身が柔らかいのでなかなかナイフが刺さらない。マスタードを大量につけて食べると...めちゃくちゃウマい。ものすごい勢いでハフハフいいながら食べていると、ウェイターが来て「皮はこうやって全部剥いてたべるもんだ。このほうがウマい。」と全部剥いてくれた。ちょっと恥ずかしかったけど...確かにうまいじゃないか。チップも入れてちょっと高くなってしまったけれども、それだけの価値は十二分にあった。ドイツの地ビールとソーセージはホントにうまい。
食後少し散歩しながら駅へ向かい、コーヒーショップで暇を潰しながら予約した寝台列車を待った。出発時刻の15分ほど前に列車は到着。重い荷物をガラガラ転がす乗客を後目にスイスイ前に進み(ホント、こういう時身軽なバックパックは気分がいい)予約した席を発見。2席ずつコンパートメントにわかれていて、なかなか快適そうだ。
*時刻表。色とか予約の使い方がズルいくらいカッコイイ。
*両サイドの椅子をスライドさせると平らなベッドになる。
オーストリアからベルリンの姉を訪ねに行くという少年と少し話してガムを交換した。ヨーロッパは常に色々な人達が旅をしているんだなあ。荷物を整理してから椅子をスライドさせるタイプのベッド(快適!アムステルダム→ミュンヘンの寝台列車にくらべると値段は安いのに設備は雲泥の差だ。ドイツの鉄道はスゴイ。)をセットアップし、ガムを食べながら日記を書いて就寝。風呂に入りたいなあ...
明日の朝にはいよいよテクノの聖地、ベルリンに到着!