ヨーロッパ旅行レポート:ロンドン編




「気が付いたら身の回りにヨーロッパのものが多かったもので...」旅行代理店で「ご旅行ですか?」と店員に声をかけられてから数週間後、僕はありったけの曲をiPodにぶちこみ、バックパック一つで単身ヨーロッパの空の下。行ってきました、見てきましたヨーロッパ。二週間の個人旅行レポートロンドン編。興味ある方やヒマな方はどうぞ。

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11:00発のKLM(アムステルダム経由)で出発のはずが機体点検中に問題が見つかったらしく4、フライトは4時間遅れ。当然アムステルダムのSchipholからロンドンのHeathlowまでの乗り継ぎができるわけもなく、スキポールからヒースローまではBritishAirに換えてもらう事に。しょっぱなからこんなんで大丈夫なのかと不安になりながら空港のラウンジで仮眠。

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*Schipohl空港

結局ロンドンヒースロー空港に着いたのは21:00過ぎ。予約してあったホテル(初日のホテルを日本で予約しておいてよかった...)に電話を入れてフライトが遅れた旨を説明する。中東っぽいナマリのオッサン曰く「チェックインは24時間OK」との事。助かった...とりあえずHeathlowから地下鉄のPiccadilly Lineで予約したホテルのあるEustonへ。駅でサックス吹いてる人がいたりして、うわっ、そのまんまTubeTalesの世界じゃん!(そういえば駅の構内で演奏してる人がかなり多い。Notting Hill Gateの駅でフルートを演奏してる人がいたんだけど、地下道のリバーブ感がすごくて、めちゃくちゃカッコよかったな...)鼻息荒く早速underworldのdark&long(dark train mix)を聴いて気分を高めつつ、22:00ごろEustonに到着。こっからが大変だった。恐らく今回の旅行の中で一番ツラかったんじゃないかというくらい。後で聞いた話だとこのへんは治安が悪くて夜はかなりキケンな所らしい...

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*エスカレーターは右に並ぶのがルール

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*地下鉄の内装。意外と狭い。

・汚れて白じゃない白いジャージを着たジャンキーカップルに何故か追い掛けられる
・代理店に渡された地図が適当で、ホテルを探して2時間暗い路地を彷徨う
・途方に暮れて声をかけた人(近所に住んでいるという留学生のMargottという黒人の女の子)が確かそんなに遠くない場所にあるはず、と一緒にホテルを探してくれた...女神!ホテルの場所を確認した後、Margottを家の近くまで送ってホテルに戻る。

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*初日に泊まったホテルの部屋。狭い!

疲労困憊。近所のガソリンスタンドでコーラを買って、公衆電話から国際電話で家に報告。コカコーラは何処に行っても同じ味。バスターミナルでバックパッカーに道を聞かれるが、今きたばかりで分かるハズも無い。とりあえず一言二言話した後、コーラで乾杯。ホテルに戻る。

*そういえば北極通過中に飛行機の窓からぼんやりとオーロラが見えた。


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ヨーロッパは日が明けるのが遅い...8:00でもやたら暗い。少し時差ボケ気味で眠い。コーヒーでも飲んで眠気を覚まそうと地下の食堂へ。バイキング形式でスクランブルエッグとかソーセージがおいてある。おお。これがEnglish Breakfastってやつですか。結構食べれそう、とか思いつつガバガバ皿によそってたら、阿藤快ソックリ(ドッペルゲンガー級)の従業員にあんたはコッチだ、とパンとシリアルとバターしかないContinental Breakfastの方へ連れてかれる。え?どういうこと?どうやら宿泊者はContinental Breakfastしかダメらしい。皿に大量によそったモノを元に戻してパンを数枚とってバター塗って食べる...トホホ。

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*泊まったB&B付近の風景。殺・風・景!

朝食後一度Eustonまで行って地図とOne Day Travel Card(バスや地下鉄が一日乗り放題になる便利なチケット)を購入。あとで気付いたんだけど、わざわざこの時買わなくても9:30以降に買えばOff Peak価格で約1pond安くなってたのだった...ホテルをチェックアウトして移動、二日目以降滞在するB&B(Bed & Breakfast:民宿みたいなもの)にチェックイン。場所がかなり便利。早速身軽な格好に着替えて早速行動開始。

とにかく前から一度行きたかったTate Modernへ。この美術館は火力発電所を改築したもので、以前タービンがあった場所が地面から天井まで吹き抜けの巨大な空間になっていて、ここで行われる巨大な空間を活かした展示がかなりスゴイという話。さっそくタービンホールに入ると、目の前に巨大な夕日が!今タービンホールで行われている展示はOlafur EliassonのWeather Project。室内に様々なランドスケープを再現するというプロジェクトらしい。すごい...建物の中に太陽があるよ。みんな寝そべって「日光浴」してる。しばらく地面にゴロゴロして日光浴をした後に一番上の階から展示を見ていくことに。作品のまとめかたが凄くいい。ロシアのプロパガンダポスターが一気に見られたのはかなりウレシイ。


Cornelia Parker / Cold Dark Matter : An Exploded View:家を作ってその中にいろいろな生活道具等をつめこんでダイナマイトで爆破。その破片を集めて空間に配置した作品
Paul McCarthy / Rocky:裸で紙袋をかぶって自分を自分で殴りまくる、時々マスターベーションするビデオ作品と鉛筆画
Jeff Koons:レディメイド
Sam Taylor-Wood / Still Life:静物画のモチーフがどんどん腐っていく様子をハイスピード再生したフィルム
Giuseppe Penone / Tree of 12 Metres:木材から12mの木が掘り出されている
Rachel Whiteread / Untitled (Ninte Tables):テーブルの下の見えないけど存在する空間

これだけの作品が一気に見れて、しかも入場無料!(ドネーションできる箱はある)ロンドンいいなあ。想像通りTate Modernは素敵だった。Tate Modernの正面の、横揺れで有名になったNorman Fosterの手掛けたMillenium Bridge(さすがに今は横揺れは無かったけど、テムズ川の風は予想以上に強かった)を渡ってSt.Paulへ。EATっていう無印っぽいサンドイッチ屋でサンドイッチとペプシを買う。

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*ロンドンはメシが不味いっていうけど、サンドイッチは意外とイケる

Buckingamm宮殿からPiccadilly CircusへSt. James Parkをサンドイッチ食べながら散歩。途中のICA(日本のICCみたいなとこ)へ。Tate Modernもそうだったけど、本当にミュージアムショップの扱ってる本ってどこでも同じだ...Gas Bookシリーズまであるぞ。ICAでは奈良美智の「I don't mind, if you forget me」が平積み。

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*ロンドンの中心地、Piccadilly Circus。左上が例のビルボード

PiccadillyのVirgin MegastoreとTower Recordに入る。フライヤーやフリーペーパーを探したけど置いて無いみたい...アナログのコーナーにもなかった...あれー?その割TIDYのmixCDが入り口付近で平積みになってたりするのはお国柄か。あとDirectors Labelがかなり売れてる感じだった。

レコード屋密集地帯Sohoへ。ロンドンの有名DJも通うというレコードショップVinyl Junkieへ。思ったよりレコードの数は少ないみたい。みんな思い思いに試聴してる風景は日本とまったく一緒だ。なんかLondonではあんまりElectronicaとか流行ってないみたい。やっぱりHouseが強いカンジ。(後から聞いた話だけど、2年ほど前にAmbient Soho (warm interfaceをやってたところ)もSOHOからCamden Palaceへ移転してしまったらしい)

その後「Londonといえば」というような所を回って宿に帰る。疲れた...さらに宿の人達と少し呑んでグッタリ、即効で眠る。


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London市内は昨日結構回ったので、今日は郊外へ出てみる事にした。Londonから電車で2時間はなれた場所、SalisberyにあるStonehengeを見に行った。「世界の七不思議の一つ」小さいころから絵本やなんかで煽りまくってる、Omni Trioのジャケットでもお馴染みの、あの石で出来たミステリーサークルを一度見ておきたかったのだ。

Waterloo駅まで行ったので、ついでにLondonからBrusseelまでのEurostarのチケットを買っておく。40pond(ちなみに1pondは約200円)、日本で買うよりすこし安い。別の窓口でCheap Day ReturnでSalisburyまでのチケット(24pond)を買って電車に乗り込む。Basingstokeで1回乗り換えて、Salisberyに到着、Stonehengeまではどうやらバスが出ているようだ。バスを待つ間Salisburyの街を少し歩く。駅前にはデーンと「SEX SHOP」なんてかかれた真っ黒な店やレコードショップ(ハードなドラムンベースを試聴してる人がガッシガシ踊ってて面白かった)があったりしてすこし裏ぶれた感じ。駅前よりも少し離れた所にあるショッピングモールのほうが賑わっている。なんかちょっとヘンだ。(街の作られ方が根本的に日本と違う事が原因だと思われる:日本の街の作られ方というのは、まず電車等の交通機関が枝を延ばして、そこから街が開発されていくという形だけど、ヨーロッパの場合は真ん中に教会があって、そこから街がある程度ひろがって、そこに交通機関が乗り入れるという形なのだろう、だから街の中心地が駅前という形にはならないのだと思う。たぶん。)

バスに揺られる事約30分、何も無い牧草地帯に忽然と姿を表す巨石群...は意外と小さかった。なんか地平線から徐々に見えてきて、うわーデカッ!っていうのを想像していただけに少しガッカリ。なんか普通に横で羊がメェメェ鳴いてるし。それでも、回りに何も無い所に突然石が並んでるのは結構すごいインパクトだ。(今後周りを通っている道路もトンネルを掘って埋める予定らしい)ストーンヘンジだけ見ても、ああ、並んでるねえ、という感じなのだけど、全体の風景と合わせてみると、やっぱスゴイかも...それより外めちゃくちゃ寒い!回りになにもないから風がすごい勢いだし。London市内はそんなに寒く無かったから油断していた...

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*Stonehengeの周りには本当に何も無い

バスに乗って帰りのチケットをチェックすると...アレ?(汗)Cheap Day Returnの帰りの分のチケットが無い!(パニック状態)カバンの中やポケットを全部探しても無い...恐らくStonehengeのあの強風で飛ばされたんだろう。泣く泣くSalisburyで帰りのOne Way Ticketを購入。Cheap Day Returnより高いし...最悪。

*帰りVinyl Junkieに寄って、知り合いになった店員の日本人の方に自分のCDを渡す。配ってくれるらしい。やったね!

宿で就職先の同じ部門の方の友達と知り合いになる。すごいヘンな繋がり。


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大英博物館へ。とにかく広い。こりゃ一日じゃ回れそうもない。Rosetta Stoneなど貴重な展示品を眺めつつ、Bande A Partのルーブル美術館を走り抜けた3人のように、駆け足で大英博物館を一気に回った。すべての展示品がすごく間近にあるのもすごい。校外学習の小学生たちが一杯いて展示物をスケッチしたりしていた。

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*大英博物館の外観

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*内部がすごく明るい中央ホール。Norman Fosterによるもの

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*人間が一生に摂取する薬物を編み込んだテキスタイル

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*これが有名なRosetta Stone

Oxford StreetにあるHMVへ。
自分「フライヤーって何処ですか?」
店員「フライ何?釣りとかそういうの?」
自分「違う、クラブやレイヴのインフォメーションペーパー」
店員「そういうのはここでは扱ってない」
自分「???」
ううーん、あんまフライヤーとか、そういうの無いの?レコ屋でも日本ほど大量になかったし....

ロンドンパンク発祥の地King's Roadへ(ミーハー)なんかこう、頭ツンツン全身ジャケットのパンクスがゾロゾロいるかと思ったらなんかこう、フツーでした。(でもパンクスは少しいた)スケートリンクで子供が遊んでたり、普通に「無印良品」とかあったりするし。(商品タグまで日本語で驚いた)King's Roadを真直ぐ歩いてWorlds's Endという素晴らしい名前のバス停から名物の2階建てバスに乗ってPiccadilly Circusへ。驚いたのは、新しいタイプのバスは普通のドアがついてるけど、古いタイプのバスだとみんな平気で途中で飛び下りたり乗ったりするのね。

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*無印良品って書いてあるし...

宿の近くにDamien Hirstのやってたレストラン、Pharmacy(少し前に潰れた、薬局がコンセプトのレストラン)の跡地があったので、一応見に行った。

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*pharmacyの文字の形に跡が残っている


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移動日。11:00のEurostarでドーバー海峡を越えて大陸へ。目指すはAmsterdam。

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*Waterloo駅のラウンジには写真のTandem Sling Seatingをはじめイームズチェアが沢山

Londonはとにかく地下鉄がめちゃくちゃ便利。どこに行くにも地下鉄でパッと行ける。日本にあるものは大抵あるし、当然英語が通じるから英語さえ喋れればそんなに苦労しない。(通貨に慣れるのは少し大変だったけど)なんだか東京と同じノリで普通に生活できそうかも、とさえ思った。

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*ロンドン市街地からちょっと進むと...

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*あっという間に何も無くなる

印象的だったのは、都心部からちょっと離れるといきなり牧草地帯が広がっている事。ちょうど島(都市)が大きな海(牧草地帯)に浮かんでいるような状態になっている。都市間の境界が明確に、かつ島状態になると、当然都市毎に独自の文化が生じ得るし、そうなればますます市民の都市に対する帰属意識は高くなるだろう。ロンドン、マンチェスター、シェーフィールド...何故イギリスには都市毎に異なった音楽シーンが登場したのか、その理由はこんな所にあるのかも知れない。

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