文学3(楳図かずお『漂流教室』講読)




漂流教室玉の小櫛

金沢美大がヘンな事やってる。

楳図かずおは、一般には猟奇的な恐怖作家として認識されるきらいが有るようだが、実際は、文学でさえ容易には到達出来なかったテーマを表現してきた作家である。また、そのストーリーは、常に緻密な構成持っていて、読者の深読みも可能にしている。その絵柄も独自の精彩を放ち、その天才ぶりを発揮している。 ここでは代表作『漂流教室』(1972)を題材として、精緻な基礎研究を経て、感動的で壮大な作品世界を味わいたい。世界に冠たる日本のマンガ文化の最高峰の一作品として、ほぼ四半世紀を過ぎても全く色褪せることを知らない名作である。 なお、マンガ研究は、評論(や雑談、蘊蓄)に傾くか、あるいは概括的マンガ史にしかなってないものが多いが、この授業では、基礎研究を経た作家研究・作品論を試みるものである。

1. 基礎研究/雑誌の初出、単行本諸版の比較校合
2. ストーリー研究/梗概(粗筋)、日次(ひなみ)、舞台再構成、登場人物一覧などを作る。
3. テーマ論/母と子、子供と大人、環境問題、科学技術、組織と宗教、勉強、友情と嫉妬、恋愛、生命の尊厳、等。

なんていうか、ちょっと、アカデミックにやるならもっと違うアプローチがあるような気もするけど...とにかく楳図かずおが好きでしょうがない!というのがよーくわかる。

それにしても、マンガのコマ割りと時間・概論という所で紹介されている楳図マンガはカックンか?のページの図版量は、ちょっとマズい。学内のみ閲覧可能にパーミッションかけないとこりゃマズい。

ところで漫画による時間の概念については、斎藤環さんの「文脈病」にかなりまとめて書かれていたと思う。

漫画の評論ではないけれど、社会学的視点から漫画と、その読者層を論じるimapcomicsもヨロシク。(笑

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