タケイグッドマン公演ログ




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慶応義塾大学佐藤雅彦研究会 タケイグッドマン公演ログ

※間違っている部分、かけている部分等ありましたらコメントで御指摘お願いします

※佐藤:佐藤雅彦先生 タケイ:タケイグッドマンさん


SDP 大人になっても
いったいどういう考えでこのビデオに行き着くのか、という事はあまり考えていなくて、感覚的にモノをつくっています。SDPとはデビューする前から友達で、彼等が何が好きで何を食べてるのかみんな知ってる。音楽聴いて、それから映像をつくる。ビデオクリップをつくるときは、なんでこのクリップをつくるようになったか、という事はあまり考えていません。その場、その時にあるものでビデオクリップをつくるようにしてます。一回やった事は二度とやらない。ゼロから最後まで一人でつくっていて、絵コンテは書きません。自分の写真をきりとって割り箸に自分をつけて、動かしていて、コレだと思って、家にあるものでセットを組もう、という話になった。ラップって言葉がすごく沢山あって、歌詞をリズムにのせるから、その言葉の分だけ写真があったら切れ目なくできるんじゃないかと思って、文字の数が920くらいで、その分のポーズを、後の事考えずに920ポーズくらい撮影しましたね。全部で2700体くらいの人形をつくりました。完璧に流れで撮影してます。だから、ものすごく感覚的にモノをつくってます。なにかを企むというのが苦手なのかも知れません。
画面の右端でぴくぴく動いてるのは、ベースの波形です。音楽からベースだけ抜き出して、映像におこして、後で合成しています。機材はベーカム。でも普通に合成したのでは浮いてしまうので、ベースの音を波形モニターに出して、一度ベーカムで撮った映像を再び8mmで撮りなおすという事を-ぼくはこれをよくやるんですが-やっています。


佐藤「やはり、あのラインがあるから、画面が生きてくるのだと思います」
タケイ「ぼくらが目で見るものより、カメラで撮影した映像は情報量が多過ぎるので、このころは情報量をしぼっていく事をしてました。ぼくらが見てる映像って、カメラで見てる映像よりもはるかに小さい。」
佐藤「目のよりもカメラのほうが情報量が多いので、目のほうがつかれちゃうんですよね」


新宿のフラッグスビジョンの映像
Dave BrubeckのTake Fiveが新宿に流れたら素敵だなと思って、つくりました。できるかぎり権利がとれるものをあつめてカットアップコラージュしたものです。だいたい権利がとれるのが30年後だったりするから30年ぐらい前の作品が多いです。(2001年宇宙の旅etc...)
まず撮影をします。撮影するときにはどんなビデオにするのか考えていません。こんなところでこの音楽が流れて来たらいいなというところで撮影したりします。歌がある場合、部分部分で撮るという事をあまりせず、頭から終わりまでまるまる撮影します。アーティストにとってはちょっとツラいかもしれませんが、3番をうたうときは3番の顔をしてるはずなんです。ドキュメントみたいな撮りかたをしています。今のパソコンではできないこと-ライブスイッチングをやってます。ぼくの特徴はリズム感だとおもってるので、まず、その音楽を聴きながら、例えば白と黒の映像ソースをリズムにあわせてスイッチングさせながら考えるという事をしています。それにあわせて映像をいれていったりします。
一定のリズムで切り替えるのならだれでもできるじゃないですか、そこですこし変わった切り替え方、リズム感がはいってくると個性が出てくる。実は、フラッグビジョンの映像は、男の人の瞬きが5拍子になってたりします。映像には必ず映像のリズムがあります。音のリズムと音楽のリズムをセッションさせる事。それがぼくの仕事です。


Tokyo No1 Soulset "keyword"
写真だけで構成されてます。SDPのも写真だけですが、写真を実写でとってたんですが、これは本当に写真だけでつくってます。写真の映像ばっかりになっちゃいましたけど、別にぼくは写真で映像をつくる人ではなくて、たまたまです。これもまた、行き当たりばったりでつくってます。
ぼくは写真をつかって映像をつくる作家ではないんですが、SDPにつづいて、写真モノという事を。とまった映像に生命をふきこむというと大袈裟ですが、ハイウェイのセンターラインや太陽のちらちらした映像をまぜることで動きを与えています。本当に、最終的にどういう映像になるのか自分でもわかりません。


佐藤「ぼくは「モルツモルツ〜」できっちり音をいれてきたんですけど、後になって、サラ・ムーンの映像をみたときにずれているという事に気付いたんです。そこで、ズレの研究というのをしたんです。」
タケイ「そんな事したんですか!」
佐藤「タケイさんのは不意打ちがくるので、非常に気持ちいいですよね。テレビに奥行きがあるんですけど、あの写真でやる平面的な感じ、あれはぼくは気持ちよかったです。」
タケイ「ぼくは人間は踊る人間と踊らない人間がいると思います。ぼくは踊る人間なので、ああいうライブスイッチングが最後まで気持ちよくできるんです」
佐藤「じゃあぼくは踊る人間なんでしょうか。ライブスイッチは本当に、面白いですよね。」
タケイ「TokyoNo1SoulSetのライブ映像も、やはりスイッチングをしてます。人間は間違える。間違えてスイッチングした後、ミスじゃない事にするんだけど、後でミスを編集してなおしてみると、ぜんぜん面白く無い。結局最初にライブでスイッチングした映像になった。一番きもちがよかった。」


カルフォルニア/WAX
マルコヴィッチの穴のSpike Jonesの映像です。最後に女の子に神様みたいなリングが出るの見ました?あそこがすごい好きなんです。調子にのったついでに、ディスニーのアニメを流します。


アリスとジョニーの帽子のカップルの話
これはディズニーランドのプロモーションのための特別番組で放送されたアニメーションです。ディスニーっていうのはやっぱりすごくて、1941年のファンタジアは映像と音の融合を試みた一番最初のビデオだったのだと思います。昔は一コマ一コマ彩色してるので、色が生きてますよね。それに、いい話だし。


Groove Tube Dir:ペン・チャピロ
映画の前に流すちょっと気の利いた映像をつくれといわれてつくった映像。これはある意味ビデオクリップじゃないか、という事で流します。(国会議員の答弁が、スキャットてるみたいに見える。)全然関係ない映像のリズムと音楽のリズムをあわせるとビデオクリップになるという例。


おまけ
北の国からの映像をつかって、遊びでつくったものです。友達のロボ宙の音楽をつかってます。音楽をすげかえるだけで印象が相当かわる。音楽というのは面白いもんです。


小沢健二 痛快ウキウキ通り
この作品には面白いエピソードがあって、編集所ですごいつかれて居眠りをしてまして、その時の夢で自分が30分くらいの居眠りで文化祭の練習を6月から9月までやっててハッと目がさめたので、そのとき見たものを映像化しました。(笑 小沢くんが、ベルトコンベアの上をあるいてて、いろいろなものが流れてくるというものです。16小節ごとに絵がかわるように仕掛けています。


質疑応答

・映像が先か、音が先か
頭の中につくりたい映像があって映像をつくるということは、撮影するときにもありますが、
ビデオクリップではまず音があって、そこから映像をつくります。やっぱり音あっての映像です、

・個展の映像について
自分の家がVHSのビデオで埋まってます。VHSの壁があります。好きな映像をあつめてる気持ちはないけど、集まってくる。ぼくはいつもどうとでもシンクロできるように、音楽をかけながら映像を見る。音とたまたまシンクロしたりするとキモチイイ。だけど音楽がはいってるとかちあうから、カエルの声とかぽちぽちいれています。

・好きなテレビ番組
テレビ番組はまったく見ません。13、4の時に友達と遊んでると、カトケンみなくちゃなんない、って友達が帰っちゃう。ビデオににとりゃいいじゃんとかおもったんですけど。家にかえると、テレビをつけっぱなしにしちゃうという行動に、中学の時に向き合ったんです。情報がすんごい多いじゃないですか。別にみんなが知ってるアイドルをしらなくたっていい。まあ、ただ単にテレビを見なくなったといいう事です。友達から借りたビデオをみたり、サッカーを見たりしますけどね。ジングルがおもしろいので、ニカロデオンはよくみますね。新聞は読むんですが、雑誌は読みません。そうするとどうなるかというと、完全に人と話が合わなくなります。(笑)人が何を言ってるか全然わかんないわけですよ。それが違う惑星にいるみたいで面白い。オススメです。これからテレビも雑誌もいっさいやめる。すごい面白い世界が広がりますよ。我慢は身体によくないですけど。あんまり情報がない状態だからこそ、面白い事ができたりするんじゃないのかな。自分がパッと選んでみているので。あくまで自分が面白そうとおもったものしか見ない。そのソースの選び方も完璧に自分のセンスになる。ホントの事です。サウンドオブサイレンスというコンセプト。静けさの音。見えない色というか...

・ライブスイッチングの身体性
静岡出身だから、6〜17、8までサッカーをやってました。父親がドラムをやってました。母親がものすごい音で音楽をかけてました。父親と母親が毎晩踊ってました。それが関係してるのかも。本気でブラジルに行こうとした事が3回くらいありました。おどるようなもんだ、という事です。

・線の多用について
ぼくは先生が黒板にビャーっとかく線がまがってるとすごい気になる人間なんですけど。(笑そういうのが関係してると思います。

・ストリート感覚
ぼくは恥ずかしくて「ストリート」なんていえないですけど、アンダーグラウンドだとは思っています。マジョリティのものをつくってる気もないし。好きな音楽で好きなようにつくった事しかないから、ぼくはプロじゃないかもしれませんね。最初はSDPの思い出ビデオをつくるというようなノリだったんですけれど、そこからSDPの連中ががTokyo No.1 Soulsetと仲良くなって、それじゃあ、ってことでビデオを手掛けて、またTokyo No.1 Soulsetが小沢くんと仲良くなったので、そのビデオを...という流れだったんですけど、最近彼等が音楽つくってないのであまりビデオもつくっていません(笑

・タケイグッドマンという名前
本名が武井良仁なんです。「良人」じゃないほうの「仁」の良仁なんですけど、SDPのANIがふざけてグッドマングッドマンって言ってたので、そのまんまグッドマンになっちゃいました。

・偶然を大切に
ぼくは偶然を大切にしていきたいと思っています。撮影で転んだら転んだ映像を使う。

・構図について
ぼくはあんまり構図に考えがあってやってるわけじゃないんですけれども。たまたま後からそうなったりします。

・DEVO
ぼくが一番最初に衝撃をうけたのは、DEVOのSatisfactionです。黄色い服をきて、痙攣するように踊るという内容です。


佐藤「質問が多かったですね。」
タケイ「前に公演をやったところでは、全然質問が出なかったので、今日は質問が多くてビックリしてます。」


DAS THE MIC脱線トリオのビデオ
ちょうどつくる時「明日のジョー」を読んでて、サンドバックを殴る時に出る「パチパチパチ」っていう擬音がハングル文字にみえたんですよ。「ワー」とかそういう漫符?がいいとおもったんだけど、結局そこには着地せず。意味のないMCを意味のないままにしたいとおもった。マンガを意識してます。
最後に流す映像としてはふさわしいかわかんないけど...これはぜんぶ写真をカラーコピーして、漫画とおなじようにはりつけて、どんどんとっていきました。周りのチラチラは波形モニターにモザイクをかけたものを何種類も組み合わせたものです。それがないとヨイショヨイショというものだけになってしまうんですけれど、モザイクをいれるだけですごい躍動感が出ますね。

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